実際に販売の現場に携わった担当者の話では「現役でバリバリ働いているから都心近くのこの物件がいい、という人が多かったのは事実です。でも、これはわれわれにも意外だったのですが、リタイア組やそれに近い人が少なくありませんでした。若い頃に郊外に二戸建てを買ったけれど、子どもたちは独立してもてあましている、一戸建ては手入れがたいへん、年とともに郊外での生活はしんどくなってきたので都心のこのマンションに買い換える、というケースです。なかには、資金的にも余裕があるので、郊外の家は人に貸して、白分たちが住む家を都心で買い増すという人もいます」といった傾向もみられたそうです。マンション、なかでも特に超高層マンションの世界では、しばしば「都心回帰」ということがいわれますが、その担い手はファミリー世代だけではなく、熟年世代も大きな役割を果たしているということです。考えてみれば、都心での生活は現役を退いた熟年世代ほどメリットが大きいのかもしれません。都心の超高層マンションなら管理にはまったく手間ヒマがかからないし、防犯上の安心感も強い。それに対して、郊外の一戸建てだと外出時には何力所も鍵を確認しなければならず、それでもピッキングなどの不安は尽きません。それに、若いうちならなんでもなかった買物も煩わしいし、少し体に不自由な面が出てくると、階段の昇り降りさえ苦痛になります。若い頃には憧れの的だった一戸建てでの生活がむしろしんどいものになってしまいます。